命令口調はだめ 子供の遊び感覚「仕掛」で魅力的な選択肢に誘導する

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長椅子を設置すると、2人分を1人で占領する人がいます。これを解決するために「みんなで使いましょう」とか「占領しないで!!」とか注意書きするも一つの方法、でも仕掛学なら相手を不快にさせず魅力的な選択肢で人を誘導できるかも。



著者はもともと人口知能の研究者であり、コンピュータを使ってデータから意思決定に役立つ知識を発見することに取り組んでいた。しかし2005年のある日、世の中のほとんどの事象はデータになっていないという当たり前のことに気づいた。

立ち止まって耳を澄ませば鳥のさずりや木々の葉のこすれる音が聞こえてくるが、このような目の前の事象でさえデータになっていない。いくら高性能の計算機があってもデータがなかればただの箱である。

 この問題を解決する一つの方法は、データやコンピュータに頼ることを止めることである。人はデータに頼らなくても道端にひっそりと咲く花や鳥のさえずりに気づく。必要なのはデータでもコンピュータでもなく、生活空間の魅力を人に気づかせる「仕掛け」である。

 
冒頭でこうした説明のある『仕掛学 人を動かすアイデアのつくり方』(松村真広、東洋経済新報社)は、『仕掛けは生活空間の魅力に気づかせるための仕組み』と紹介しています。

 
生活空間に作られた仕掛けには、気づくかどうかで変わります。




本書の序盤に紹介されている仕掛け、ドラゴンボールの背表紙、男子トレイの的、天王寺動物園の筒があります。

ドラゴンボールの背表紙は以下のようになっていて、1巻から順に並べていけば1つのイラストになります。これを順不同に並べてしまうと1つのイラストにならず気持ち悪くなりませんか。片付けが苦手な人でも順番に並べたくなる背表紙、または購入していない巻があると購入したくなるかもしれません。


男子トイレには尿をする専用トイレがあります。ここの床は尿が飛散するので汚れやすい!!これを解決するためにトイレに的がはられています「尿をここに当てて(そうすれば飛散せず床が汚れないから!)」

「清掃員のお願い、一歩前に出てください」と、張り紙があるトイレもあります。こちらはホースから尿が垂れてしまって、トイレに届かず床が汚れやすいトイレの場合です。この張り紙は仕掛け学ではありません。


 
仕掛けは「行動の選択肢を増やすもの」ということもできる。新たに生まれた行動の選択肢のほうが魅力的であれば自ら進んで行動を変えるだろうし、興味を惹かれなければこれまで通りの行動を行えば良い。



トイレの的は的に気がついた人は「なぜ、的があるのか?」と考えるかもしれません。
これが尿の飛散防止だと気づき、トイレの汚れで苦情が多いのか、汚れを少なくして清掃員を減らしたいのかななどと考える人がどれ程いるのか。ただそこに的があるから狙う。管理会社のためにより、的があるからの方が面白い。その的を狙ってくれれば結果的に尿の飛散が減少するでしょう。


 
もともと何もなかったところに新たな行動の選択肢を追加しているだけなので、最初の期待から下がることはない。どの行動を選んでも自ら選んだ行動なので、騙されたと思って不快に思うこともない。つまり、仕掛けは誰の期待を下げることもなく問題を解決することができる方法になる。



こちらが不快な気持ちだから改善してほしいと思い、命令口調でなくてもオブラートに包んで伝えても相手を不快にさせるかもしれません。ルールだからマナーだからと押し付けると揉め事になりクレームを受けるかも。


■実際に仕掛けで改善策を考えてみましょう。

 
子供は仕掛け発見器である。


子供の頃、横断歩道の白い線以外を分だら死ぬ(サメに食われる、崖から落ちる)とか、床のタイルを使ってケンケンパしたりとか、大人の発想でない遊びをしていましたよね。(大人になってそんな遊びをしたら恥ずかしい)
仕掛けの気づきも子供の遊びの発想のようなものなので、子供を観察して発想力をヒントを見つけましょ。

 
大人もさりげなく行動を変えることがある。

 
子供を観察したら大人を観察します。電車の長椅子は両端から埋まるとか、よく利用されるベンチの場所とか、路上のゴミのたまり場、放置自転車の場所など。

繰り返し同じ現象が起きているなら何か規則(心理)があるはずです。

電車の長椅子は端に座れば、隣にいる他人は1人になります。変な人に挟まれずに済みます。もしくは壁側に寄りかかれば隣の人に迷惑を掛けずに眠ることもできます。

最近は、掴まり棒が2席間隔に立っているのでそこも心理的に座りやすくなりました。従来はただの長椅子でした。2人分の席を1人で座る人がいましたが、1座席ずつを感じられるような座席デザインになってからはなくなりました。


■課題に五感を足す
仕掛けには物理的と心理的があります。
物理的には、フィードバック(聴覚、視覚、触覚、臭覚、味覚)、フィードフォワード(アナロジー、アフォーダンス)に分かれます。

まずはフィードバックから順に課題を足していきます。課題が「ゴミ箱」なら、

ゴミ箱+視覚フィードバック
例)ゴミ箱の入っているゴミの重さをグラフ化する。


ゴミ箱+聴覚フィードバック
例)ゴミを捨てると素敵な音がなる。(ペイペイ♪のような感じかな)

ゴミ箱+触覚フィードバック
例)ゴミ箱の蓋の手触りが良くて、ついつい蓋を開けたくなる(ゴミを捨てたくなる)。


ゼロから仕掛けの気づきを考えていくのは難しいので、
「AとかけてBととく、その心はC」のように考えやすいかもしれません。
いろいろな言葉を掛け合わせていくと、「これいけそう!」という子供の遊びのような面白い発想がしやすくなります。

楽天市場 仕掛学 人を動かすアイデアのつくり方 [ 松村 真宏 ]

■アスリートも仕掛学

私が今考えているのは「ジムを使ったあとベンチの汗を拭かず、道具を片付けない人」です。

実は、これは私の課題ではなくスピードスケートの小平奈緒選手の課題です。
私が仕掛学に興味を持ちましたのは、小平奈緒選手のインスタグラムでの投稿がきっかけ。
彼女が利用しているジムでは、「ジムを使ったあとベンチの汗を拭かず、道具を片付けない人」に困っているそうです。
そんな人に気づいたてもらいたくて、仕掛を試しているそうです。
今のところ、効果は出ていないのかな。

私も仕掛学を参考にしながら、魅力ある誘導を仕掛けていきたいところです。



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